『チュンチュン通り』第3回

第3回
コンビニのバイトは割と長く続いている方だ。
仕事にも慣れ過ぎたのか、あまり何も考えずにこなしている。
昨日の居酒屋での会話も、すでに頭にはなかった。
八時過ぎくらいにあの人はきた。
あの人はいつもヨーグルトと何かしらを買っていく。
今日はヨーグルトと缶ビールを買った。
変な組み合わせだと思った。
「366円です。……ありがとうございました」
オレはあの人の顔をはじめて意識して見た。
それまではなんだか朧げだったその顔は以外と可愛らしかった。
でも、釣り銭をとったあの人は、
オレが「ありがとうございました」を言い切った頃には、もう店から出ていた。
「ちょっとイイとは思ったけど、それ以上はないな」と思った。
そんなことより、明日は朝早く出なければならないので、とっととバイト上がりたい。
* * *
早く家帰ってビールで『ひとりお疲れ様会』をやりたい。
「アタシよ、今日は特にがんばったな!」
我慢ならなくなり、もうここで缶を開けて、飲みながら帰ってしまおうか否か、
などと迷いながらしばらく歩くと、ここが『チュンチュン通り』であることに気づいた。
「そういえば、帰り道じゃ『チュンチュン通り』のことなんて考えもしなかったな」
辺りを見回す。当然雀の姿は見当たらない。もう暗いし。そしてなんだか妙に静かだった。
「あーっ、やっぱり家帰ってから飲も」
静まり返った『チュンチュン通り』を、アタシは颯爽と駆け抜けてゆくのであった。
つづく
※この物語はフィクションであり実際の 人物、団体等とは関係ありません。
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2008.05.02 | Comments(0) | Trackback(0) | 小説之鋏





